
こんにちは。
皆さんご存知の通り今年の4月から労働基準法の年次有給取得の項目が変わり「年間5日以上の有給の付与」が義務付けられますね。
法に従わなければ罰則もあるというなかなか徹底した改正になってると思います。
まぁ規定時間を越えた労働や残業代未払いなど問題はまだまだ残っていますが、今回の改正で現環境の改善への第一歩にはなるんじゃないかなって思ってます。
さて、そんな有給義務化ですが「有給が無い」「時間労働が当たり前」とよく言われ噂されるブラックの代表格(実際そこまで酷くはないんですけど)の美容師にも果たして適用されるのでしょうか?
いろいろ考察や憶測などを書いていこうと思います。
美容師にも適用「は」される
結論から言ってしまえば美容師にも適用はされるであろうと思います。
美容室も”企業”である以上は当然今回の対象になり、もし適用されてない事が発覚したら罰則として30万の罰金が科せられる為、経営者もそのリスクは避ける可能性があるからです。
なぜ「は」と強調したのかと言うと実際は後述する様々な事情で有給をとれない(とらない)スタッフが殆どなんじゃないかなと思ってるからです。
歩合給を優先して有給を取りたがらない
これはトップスタイリストに多くなりそうです。
アシスタントやデビューしたてのスタイリストだったら影響はないかもしれませんが、これが毎月相当額を稼いでるスタイリストならかなりの痛手になってしまいます。
例えば固定給が17万で歩合率が20%のお店に月に300万稼ぐスタイリストがいたとします。
月に24日出勤のお店だった場合で彼の日給を計算すると
(売上300万-歩合率20%)歩合給60万+固定給17万=月給77万。
月給77万÷(出勤日数)24日=日給33478円
キストが
このように日給にして33478円ももらえてる訳です。
ところがこれに有給をあててしまうととんでもない減額に。
有給なので当然その日の給与はつきますが、その日は売り上げを出していない為に貰えるのは”固定給としての日給”のみ。
固定給は17万なのでそれを日給換算すると
(固定給)17万÷(出勤日数)24日=7391円
そう、有給で休んだ場合にもらえるのは僅か7391円のみ!
出勤した日に比べて26087円も下がっているのです。
ここまでの差がある為有給を使わずに働き通すというスタッフも多いです。
※もしかしたら全ての美容室がこうとは限らないかもしれません。毎年の売り上げに貢献している相当優秀なスタッフに対して特別な待遇をしている美容室もあるかもしれません(そんなホワイト美容室なかなか無いですけどね(笑))
指名客がいるのでなかなか充てられない
これもスタイリストにありがちになりそうです。
自分の有給とお客様の予約が重なるのを恐れるパターンです。
勿論お客様の方もある程度の融通はきかせてくれるとは思いますが、すべての方がそうとは限らないです。
日頃から凄い忙しい方や、遠くの地域から来てくれてる方などもおり、そういうお客様は来れる日も限られてくる訳です。
もしそういった少ない時間を割いて予約して頂いても「休みだからいません」ってなると「また別の日にね~」てはなりにくいです筈です。
他のスタイリストにとられてしまうかもしれませんし、最悪そのまま失脚なんてのも十分ありえる話です。
そうなるとせっかく有給を使って給料が減らないようになってるのに、売り上げ面で給料ダウンさせられる可能性が出てくる訳です。
なのでこれまた”休暇≺給料”になり有給を取らない人が多くなりそうです。
夏季休暇として充てられている
実は今現在有給が設けられている美容室の殆どは夏季休暇を有給に充てているところが大半だと思います。
ちなみに有給というのは”本人が希望する日にちに充てられるのが原則”であり、会社側が本人の承認なしに勝手に有給を充てるのは違法になります。
なので「お盆休みや正月休みで5日以上あるから有給なしね」はできないです。
そうなると上述の夏季休暇を有給に充てるのは違法じゃないかと思うでしょうけど、そこをうまく合法になるように調整されているのです。
”夏季休暇は好きなように取りなね”。大抵はこう言われます。
要するに日にちを決められていないんです。これはつまり冬や春にとってもいいし、まとめて5日間じゃなくてバラしてとってもいいし、完全にこっちの自由です。
でもこれって裏を返せば夏季休暇をとれば有給がなくなり、有給としてバラバラにとれば夏季休暇がなくなるってことです。
ここが経営者の上手いところであり、ズル賢いところでもあるんです。
実は労働基準法には夏季休暇やお盆休みや正月休みを与えなければならないという記述が無いんです。
まぁ全ての企業にお盆休みや正月休みを強制したら買い物はおろか、電気や水などのライフラインも止まってしまい町中大パニックになってしまいますからね。
長期休暇を確保してるのはあくまで企業のイメージをダウンさせない為であり、与えるか与えないかは完全に企業の判断です。
なのでこれから有給義務化が始まっても、ほとんどの美容室は上述した制度になるでしょうし、すでに夏季休暇があるところは引き続き同じ制度で継続だと思います。
まとめ
このように色々事情があり、一般企業のように完全適応ってのは正直厳しいんではないかなと思います。
週の労働時間は法で定められた時間を余裕で超えてますし、残業という定義も曖昧になってるなど本当にグレーゾーンすれすれなので、今更改善する余地があるかと言われれば微妙なところです。
ただ、私達の業界は売り上げ(とお客様の笑顔)をモチベーションにしてるので今回の改正に関してはさほど皆気にしないと思いますよ。